第二十四話
七人の欠落した超将軍
禍々しくも神々しい巨大な鎧を纏い、真駆参大将軍は“神聖大将軍”を自称し現れた!
真駆参「神たる我が救済してやろう。烈光。」
駆路守『真駆参……!大将軍へと至りながら、キサマがやったことは圧政と粛清!この悲惨な世界を作っておいて今更救いだと?』
光焔「……!?気を付けて!真駆参大将軍の中からバロックハンドと同じ、いやより巨大な気配が!?」
真駆参「バロックハンドは端末に過ぎぬ。“神たる核”は我が中にある。我は“神聖大将軍”。大将軍であり神である!この神無き世界を導く神である!!」
駆路守『神?神だと!あの時、お前を信じて戦ったのはお前を神にする為じゃあない。良き国をと、天宮の未来を、“大将軍”を信じて戦ったんだ!それなのにキサマは!!……今こそ取り戻す!天宮の未来を!!』
千力「そうだ。だからこそ私達は集ったのだ!貴方を、真駆参大将軍を止める為。」
飛天「千力!」
千力頑駄無達は地下大空洞へ辿り着いた。
真駆参「神に仇なす者共よ、これは救済だ。我が世界で生きられぬのならば、永遠に眠るがよい。」
駆路守『いくぞみんな!!!』
強大な神聖大将軍へ絆我斗衆は立ち向かう。一人一人では決して敵わぬ神のごとき存在へ皆で立ち向かう。
天宮の未来を取り戻すために……!
それでも、
神聖大将軍の力は強大であった。
バロックハンドが召喚した異世界戦士との戦いで疲弊しきっていたとはいえ
歴戦の勇者達が総掛かりで立ち向かっても神聖大将軍の優勢は覆せず劣勢をしいられていた。
真駆参「どうした烈光!!先刻の威勢はどこへいった!?」
駆路守『真駆参─────!!』
一閃!真駆参へ駆路守は太刀を振り上げる。
ピシッ!
真駆参「─────やるではないか。」
その一閃は神聖大将軍の“結晶鳳凰”を捉え一痕をいれた!
だが、
真駆参「だが、お前の敗けだ!!」
姫天「駆路守─────!」
次の瞬間、駆路守の頑駄無結晶は砕け散ってしまった。
真駆参「我が一太刀のほうが速かったな。さぁ救済だ。烈光頑駄無!」
神聖大将軍が駆路守目掛けて太刀を振り下ろす。その時、一陣の風が駆路守を庇い神聖大将軍の太刀を受け止めた。
真駆参「なんのつもりだ?荒鬼頑駄無。」
荒鬼「御無礼をお許しください。大将軍様。」
駆路守を庇った一陣の風、それは荒鬼駄無であった。
荒鬼「………大将軍様は力こそが正義であり、強き民による強固な天宮こそが未来だと仰いました。」
真駆参「そうだ。闘争は効率的に進化を促す。未来永劫、闘争を続けることで果てなき進化を続けることができる。永劫の闘争こそが我が世界。」
荒鬼「では、闘争の果ての未来は……」
真駆参「そんなものは無い。闘争の果て、それは進化の終着だ。」
荒鬼「大将軍様……貴方はもう、既に異世界の神へと変わられていたのですね。ならば───!!」
真駆参「闇に堕ちてまで得た答えが反逆か?荒鬼頑駄無よ!!」
荒鬼「─────貴方を止める!これが俺の最後の忠義!」
神聖大将軍へと立ち向かう荒鬼頑駄無。しかし神聖大将軍には届かない。
獣王「荒鬼!一人で突っ込むな!」
鉄斗羅「お前も大将軍を倒すんだろ?」
千力「ならば今こそ、我ら超将軍が力を合わせる時!」
荒鬼「獣王、鉄斗羅、千力………ふん!遅れるなよ!!」
団結する超将軍。それに呼応するように、“七つに砕け散っていた駆路守の頑駄無結晶の欠片”は、閃光を放ち出した!!
光焔「これは“縁”が繋がった……?ならば!召喚〈コール〉─────!!」
光焔は“砕けた欠片”を触媒に三人のSD戦士を召喚した。それは因縁深き三人の超将軍。
鉄斗羅「まさか……雷鳴!爆流!天地!?」
千力「バロックハンドの呪縛に囚われた君たちは…死して魂になって尚、救援に来てくれたのか!?」
光焔「超将軍!この力を受け取るんだ──!!」
そして“七つの欠片”は閃光を放つ結晶となり七人の超将軍の元へ!
獣王「力が溢れる……これが!」
鉄斗羅「これが閃光結晶。」
天地「俺達が本来得るはずの力。」
爆流「正義を示す光の力!」
雷鳴「さぁ今こそ示そう!我ら七人の超将軍の正義を!!」
荒鬼「大将軍さま!─────お覚悟を!!」
閃光結晶の力を得た七人の超将軍は神聖大将軍へ挑む。
真駆参「小賢しい!ここにきて全員で刃向かうか!超将軍!だが!だが!だが!!神たる我を墜とすにはまだ足りぬ!!」
千力「だが、我ら七人の力!届いているとお見受けした!」
爆流「ここまで奇跡をおこしておいて届かないなんて嘘だからね!!」
天地「この溢れる力は天井知らずだ!いける!」
雷鳴「いや──!いくんだ────!!!」
荒鬼「みんなの力を、俺にみんなの力を預けてくれ!!」
超将軍「応!!!!!!」
最高潮に高まる超将軍の力。その全てが荒鬼頑駄無へ……その手に握る次元嶄刀に七つの閃光結晶が集約する……!
救世主 “荒烈駆主” の魂を継ぐ荒鬼頑駄無。
“強すぎる光”に対抗する為に世界の自浄作用が産み出した“闇の鳳凰”をその身に宿した彼は、
七つの閃光結晶によってその魂に刻まれていた“荒ぶる光”もその身に呼び起こした。
“荒ぶる光”と“救世の闇”。相反する極点の力が救世主 “荒烈駆主” の魂を覚醒させ、荒鬼頑駄無は“双極の頂(いただき)”へと到達した!!!
真駆参「荒鬼頑駄無……光であれ闇であれ、節操無くその身に宿すか?」
荒鬼「光も闇も、それはどちらも“力”だ。大いなる力を正しく使うこと……俺は力を求める!正しきを成す為に。今こそ俺は!この“力”を正しき事に使う!!それが俺が見つけた正義!!」
真駆参「ならばお前のその正義!示してみせろ!荒鬼頑駄無!」
荒鬼「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!双極七閃斬!!!!!!!!」
七人の超将軍の力を集結した荒鬼頑駄無の一撃は神聖大将軍の鎧を砕くに至った。
しかしその衝撃は強大で荒鬼頑駄無の次元嶄刀も砕け散ってしまう。
真駆参「やるではないか!しかしお前が砕いたのは我が神の鎧だけよ!この力の余波にキサマは堪えられまい!残念だがここまでだーーーなにィ!?」
次元嶄刀が折れたとしても!荒鬼頑駄無は折れはしない!!
荒鬼「俺の…………俺達の正義を示せ!銀狼剣────!!」
次元嶄刀を失った荒鬼頑駄無であったが、最後の力をふり絞り銀狼剣で真駆参大将軍の鳳凰結晶を斬り裂いた!
真駆参「烈光の付けた傷から……見事だ!荒鬼頑駄無、いや七人の超将軍達よ!!ふははは!はーはははははははは!!」
荒鬼頑駄無が起こした力の衝撃と鳳凰結晶が砕けたことにより発生した強大過ぎる力の衝撃。
それは眩すぎる閃光となり大きく弾け、そして───
光が晴れるとそこには銀狼剣と“七つの結晶”を残し何も残っていなかった。
真駆参大将軍の姿も、
七人の超将軍の姿さえも……。
獣王「大将軍様。起きてくだされ。」
駆路守『……ここは?』
獣王「ここは夢の中でございます。」
駆路守『獣王?……他の超将軍達も?』
雷鳴「いつまでも寝ていてもらっては困ります。」
天地「アンタにはまだやるべき事が残っている。」
鉄斗羅「もちろん真駆参大将軍は僕たちが倒したけどね!」
千力「それでもまだ最後の敵が残っています。」
爆流「ボク達はもう、この世界から欠落(いなくなる)けど。だけど。」
荒鬼「キサマならやれるだろう。だから……後の事は任せたぞ…………大将軍!!」
姫天「駆路守!駆路守!!」
襲弐「駆路守!!目を覚ましたか!」
目を覚ました駆路守。その眼前には禍々しい渦が蠢いていた。
飛天「まずいぞ駆路守…!次元の渦がここまで…このままではこの世界自体が!!」
駆路守『わかっている。超将軍達が教えてくれた……今度こそ、最後の戦いだ!』